豊後水道における底入り潮の研究
    Study on the bottom Intrusion in the Bungo Channel


 外洋に面している豊後水道の海洋環境は,
外洋からの海水の進入現象の影響を強く受けます.

急潮

 急潮は,黒潮系暖水の突発的な進入現象のことで,これまでの研究から主に夏季の小潮の頃に
発生することが解明されています.
底入り潮(bottom Intrusion)

・陸棚斜面域からの冷水の進入現象のこと
急潮と比較すると,最近となって見出された現象.

基本的な物理特性については,未解明であった.



 底入り潮に関する研究課題


 ・底入り潮の基本特性の解明
 ・底入り潮の発生機構の解明
 ・底入り潮が豊後水道の生態系に与える影響


 底入り潮の基本特性の解明

   ・係留観測
   ・調査船による観測     
   ・データ解析


 底入り潮の基本特性

 ・周期性:主に小潮の頃に発生する
 ・初夏から晩秋まで,繰り返し発生する
 ・黒潮が離岸流路をとったときは,発生回数や,
  底入り潮の発生に伴う水温低下が小さくなる.

解析結果の一例

← 豊後水道南部の内湾における
   底層水温の時系列(1998年)

 海面下60mの水温時系列は,急激な水温低下を繰り返していることがわかる.この水温低下は,底入り潮の発生を示している.

参考文献

Kaneda, A. H. Takeoka, E. Nagaura and Y. Koizumi 2002: Periodic intrusionof cold water from the Pacific Ocean into the bottom layer of the Bungo Channelin Japan. Journal of Oceanography, 58, 547-556.

Kaneda, A., H. Takeoka and Y. Koizumi, 2002: Periodic occurrence of diurnalsignal of ADCP backscatter strength in Uchiumi Bay, Japan. Estuarine, Coastal and Shelf Science, 55, 323-330.

Takeoka H., Y. Koizumi and A. Kaneda, 2000: Year-to-year variation of a kyucho and a bottom intrusion in the Bungo Channel, Japan. Interactions between Estuaries, Coastal Seas and Shelf Seas. Tetsuo Yanagi (editor). TERRAPUB, 197-215.

Nakano, S., S., Kitamura, T. Katano A. Kaneda, and H. Takeoka, The dynamics of a microbial food web and classical food chain in a coastal sea with special reference to intermittent nutrient supply from bottom intrusion. Aquatic Ecology (accepted).

Copyright(c)2003 CMES. All Rights Reserved.